会社のことを知っている人が隣にいるようだった――AIと健康経営優良法人の申請を進めて感じたこと
健康経営優良法人2027の申請を、会社情報を整理した11本のMarkdownや就業規則、最新情報を確認しながらChatGPTと進めました。AIと会社の前提を共有し続ける意味を考えた記録です。
2026年9月、健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)の申請書を作っています。
設問を一つずつ確認しながら、自社の状況に当てはまるものを入力していきます。
健康診断。有給休暇。時差出勤。在宅勤務。育児支援。社内交流。ストレスチェック。
一つひとつを見れば、普段から会社で取り組んでいることです。
それでも申請書になると、
これは実施していると言ってよいのか。
規則にも書いてあっただろうか。
この設問が求めている条件に当てはまるのか。
と確認しながら進める必要があります。
今回は、申請画面や設問をスクリーンショットでChatGPTに見せながら、一項目ずつ一緒に整理していきました。
時間はそれなりにかかりました。ただ、一人で申請書と向き合っているときとは少し感覚が違いました。
会社のことをある程度知っている人が、隣で一緒に確認してくれている。
そんな感覚に近かったのです。
会社の情報を11本のMarkdownに分けている
現在、Creerでは会社に関する情報を11本のMarkdownに分けて整理しています。
- 経営
- 財務や銀行
- 持株会社
- 社員や給与、教育
- 認定や信用
- 営業や人脈
- DX、AI、CIM
- 銀行への報告
- 会社の文化
- 新しいプロダクト
- 社員のAI教育や外部支援
現在は00から10までの11本です。
ただし、最初から11本を用意したわけではありません。
AIに会社の情報を読ませるために、まず11種類の資料を作ろう。
と計画して作ったものでもありません。
経営についてAIと話す。銀行とのやり取りを相談する。社員教育について考える。認定やDXについて壁打ちする。
その中で、
これは残しておいた方がいい。
この情報とあの情報は分けた方がいい。
これは今の会社方針として整理しておきたい。
というものが少しずつ増えていきました。
内容が増えれば整理し直し、重複が出れば分け、状況が変われば更新する。そうした作業を繰り返した結果、現在の11本になっています。
しかも、単に11本あるというだけではありません。それぞれのMarkdownの中身も、会話を重ねるたびに少しずつ厚くなってきました。
会社概要だけを整理した資料ではなく、
- なぜその判断をしたのか
- 今どこまで進んでいるのか
- まだ検討中なのか
- 今後どうしたいのか
といったところまで残っています。
つまり、この11本はAIのために一度作った資料というより、AIとの壁打ちを続ける中で、少しずつ形になってきた会社の記録に近いものです。
会社のことは、このプロジェクトの中で話すようになった
最近は、会社に関する話を通常の新規チャットで始めることがほとんどなくなりました。
経営のことも、社員のことも、銀行のことも、認定のことも、会社用のプロジェクトの中で新しいチャットを作って話します。
チャット自体はテーマごとに分かれます。しかし、その土台には同じ会社情報があります。
OpenAIの公式Help Centerでも、ChatGPTのプロジェクトは、関連するチャット、ファイル、指示を一つにまとめ、同じコンテキストを使うための仕組みとして説明されています。
そのため、毎回、
Creerという会社はこういう会社で、社員はこうで、今こういう取り組みをしていて……。
と最初から説明し直す必要がありません。
私の感覚では、同じ会社の部屋の中で、テーマごとに机を変えて話しているような感じになってきました。
そのため最近は、
これ、うちの場合はどうだろう。
というところから、そのまま話を始めることができます。
そして、そこで新しく決まったことや、後から使いそうな情報が出てくれば、また会社情報へ戻していく。その繰り返しです。
11本のMarkdownだけで申請したわけではない
ただし、今回の健康経営優良法人の申請を、11本のMarkdownだけで判断したわけではありません。
就業規則も確認しました。
別に整理している社内資料も使いました。
現在は使っていない過去資料を確認する場面もありました。
さらに、申請書には対象時期など、その申請に固有の条件があります。Markdownに入っていない最近の情報については、その場で私が補足しました。
つまり、実際には、
- 会社の現在地を整理した情報
- 就業規則などの原資料
- 申請固有の条件
- その時点の最新情報
- 申請前の確認
を組み合わせながら進めています。
これは結構大事なところだと思っています。
AIに会社情報を渡したから、あとはすべてAIが正しく判断してくれる。そういう話ではありません。
ストレスチェックは、今まさに情報が変わっている
分かりやすかったのがストレスチェックです。
現在は、ストレスチェックを委託する施設との契約書類が届いている段階です。まだ返送前なので、ストレスチェックそのものは実施していません。
ただ、申請までに実施できれば、申請時点の会社の状態は変わります。
設問の対象時期や実施条件を確認したうえで、申請上の対象になる段階まで完了していれば、その内容を反映する。間に合わなければ、未実施の状態で回答する。
ここで改めて感じました。
会社の情報は、固定されたものではありません。
昨日の会社情報が、申請日の会社情報と同じとは限らない。
だから、AIと会社の情報を共有するのであれば、「覚えさせること」以上に、今の状態へ更新しておくことが大切なのだと思います。
健康経営の申請だけの話ではなかった
今回、健康経営優良法人の申請で、この便利さを特に強く感じました。
ただ、考えてみると、普段から同じことをしています。
経営について迷ったとき。銀行との話を整理するとき。知らない制度について調べるとき。社員制度を考えるとき。AIやDXへの投資を考えるとき。
一般的な情報だけを聞くのではなく、「Creerの場合はどうだろう」というところまで、そのまま会話を続けられる。
制度の内容を調べるだけなら、検索でもできます。
しかし、
今の会社の状況なら、どう考えるか。
となると、会社の前提を共有していることが効いてきます。
今回の健康経営優良法人の申請は、その違いが特に分かりやすく表れた出来事だったのだと思います。
AIが会社を知っていたわけではない
もちろん、AIが突然Creerのことを理解するようになったわけではありません。
会社についてAIと話し、その中で考えたことを少しずつ残してきました。
内容が古くなれば直す。状況が変われば更新する。必要になれば資料を追加する。
それを繰り返してきただけです。
でも、その積み重ねによって、次のような循環ができ始めています。
- AIと話す会社で起きていることや、いま考えたいことを相談する
- 会社について考える自社の状況に照らして、判断や方針を整理する
- 大事な情報を残す決まったこと、理由、現在地をMarkdownへ戻す
- 次の会話につなげる残した情報を前提に、もう少し深いところから話し始める
11本のMarkdownも完成品ではありません。
会社が変われば、また変わります。むしろ、完成させるものではなく、会社の現在地に合わせて更新し続けるものなのだと思っています。
AIに何を聞くかだけではなく、何を共有しているか
今回の健康経営優良法人の申請で、これまで会社情報を整理してきた意味が、実際の仕事の中ではっきり見えました。
AIに申請書を任せたわけではありません。
ただ、その横に、会社のことをある程度知った上で、一緒に考えてくれる相手がいる。
以前より、そんな使い方に近づいてきたように感じています。
そして最近は、この会社情報を更新していく作業そのものも、もう少しAIと分担できないかと考え始めています。
それは、また別の話として書いてみたいと思います。