AI・生成AI

GeminiアプリにNotebookが増えていた――資料を読む場所から、仕事の途中をつなぐ場所へ

iPhoneのGeminiアプリにNotebookが現れたことをきっかけに、Web調査や成果物作成へ広がるGoogleの機能を調べました。社員指導から残した記録をどう使うか、Notebookで根拠を持つ意味とともに考えます。

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2026年9月下旬、iPhoneのGeminiアプリを久しぶりに開くと、左側のメニューに「Notebook」が増えていました。

以前からGeminiとNotebookの連携については話が出ていましたが、当社のGoogle Workspaceアカウントで実際に使えるようになるまでには、少し時間がかかっている印象でした。Googleも9月にWorkspace向けの提供を案内しています。ようやく手元にも入口が来たのか、と気になって最近の更新を調べました。

すると、変わっていたのは入口だけではありませんでした。Webから資料を探す。Deep Researchで複数の情報源を調べる。Notebookの資料をもとに考える。さらにGeminiアプリでは文書や表計算ファイルを作り、Google Docsからは既存のNotebookを参照する。これらは一つの画面で同じように使える機能ではありませんが、つなげて見ると、以前のNotebookLMとは少し違う仕事の流れが見えてきます。

8月には、RAGを「作る側」の前提が揺らいだ

8月に、2,000ページ超の積算基準書をChatGPTに直接渡した記録を書きました。大量の資料を扱うなら、まずRAGを組む。そう考えていたところに、AIの長文処理能力が追いついてきて、「本当に毎回そこから始める必要があるのか」と考え直した記事です。

もちろん、RAGが不要になったと結論づけたわけではありません。ただ、「大量資料なら、まず検索の仕組みを作る」という順番は、案件や資料の性質に合わせて見直してもよさそうだと感じました。

今回はその続きのような話です。資料を根拠に答えるNotebookの側も変わり始めています。

「資料を入れて質問する場所」だと思っていた

以前のNotebookLMには、分かりやすいイメージを持っていました。自分で資料を選んでソースに入れ、その資料を根拠にAIへ質問する。回答から元の資料へ戻って確認できる。当社でも、技術資料や社員指導から整理した記録を確認する場として使ってきました。

一般的な生成AIと違い、「何を根拠に考えてほしいか」をこちらである程度決められる。そこがNotebookの使いやすさだと思っていました。

だから、Web検索やDeep ResearchがNotebookへ入ってきたと知ったときは、少し引っかかりました。

Webまで調べるようになったら、Notebookの良さが薄れるのではないか。普通の生成AIとの違いはどこに残るのだろう。

広がったのは、資料を使う前後の工程だった

Googleのヘルプを読むと、WebやDriveから候補資料を探し、確認してからNotebookのソースに追加する流れが示されています。Deep Researchで作ったレポートや選んだ資料を取り込むこともできます。外を調べることと、何を根拠資料として持つかを決めることは、分けて考えられます。

外を調べる。候補を見つける。使う資料を選ぶ。ソースとして持つ。そのソースをもとに考える。以前はNotebookの外で行っていた資料収集が、Notebookにつながったように見えました。

ただし、画面による違いはあります。Googleの説明では、Notebook側のチャットは選んだソースを根拠にする一方、Geminiアプリ内でNotebookを使うチャットはWeb検索などのツールも利用できます。「Notebookを開いているから、回答は必ず登録した資料だけに基づく」とは考えず、どの画面で何を使った回答かを確認する必要があります。私がiPhoneで確かめたのはメニューにNotebookが現れたところまでで、調査機能の動作をその端末で一通り検証したわけではありません。

当社のNotebookでは、社内の経験も増え続けている

この変化を見ていて、当社で使うNotebookの状態も、以前とは違っていることに気づきました。社員指導から整理した記録は300件を超えています。現在は、そうした記録をGemini Notebookのソースへ追加する仕組みも動かしています。

最初に資料を入れたら完成するNotebookではありません。普段の仕事が続き、新しい指導記録が生まれるたびに、参照できる会社の経験が少しずつ増えていきます。指導内容をどう記録に残すかについては、これまでの記事に書いてきました。今気になっているのは、その先です。増え続ける記録を、どう使い直すか。

外からは、新しい設計基準や技術情報を調べられる。一方、内側からは、過去に似た条件でどこを迷い、何を確認したかという経験が増える。この二つを行き来できることに、当社での使い道がありそうです。

例えば、新しい設計基準を検討するなら、まず国や自治体などの一次資料を確認します。そのうえで、似た条件について社内でどんな検討や指導があったかを探す。過去の事例が現在の案件の答えになるわけではありません。しかし、確認すべき点を洗い出し、社内で検討したり、元請会社との協議に必要な材料を整理したりする助けにはなります。

WordやExcelへつながる意味も気になった

調べる中で、もう一つ目に留まったのが成果物へのつながりです。ただ、ここは機能を分けておく必要があります。Word、Excel、PDFなどのファイル生成は、GoogleがGeminiアプリの機能として発表したものです。Notebook単体が同じ形式をすべて直接作る、という意味ではありません。また、Google Docsから既存のNotebookを参照する機能も別の連携です。これらを当社の実務で一通り試したわけではなく、現時点では公式発表を見て考えている段階です。

当社はGoogle Workspaceを使っています。社内の共有や共同編集、AIに扱わせる情報の蓄積には便利です。一方で、土木設計の仕事はGoogleの中だけでは完結しません。元請会社から指定される成果品には、Word、Excel、PDF、CADやBIM/CIM関連の形式もあります。

Google Docsやスプレッドシートが従来の形式を置き換えるか、というより、情報を集め、共有し、AIと一緒に検討する作業環境から、実務で求められる形式へつなげられるかが気になります。ファイルが生成できても、そのまま成果品になるわけではありません。出典、数値、書式、設計条件を人が確認する必要があります。ここは別の機会に実際の作業で試してみたいところです。

RAGを使うかより、根拠をどう持つか

8月の記事では、大量の資料をAIが直接扱えるようになり、RAGを作ること自体を目的にしなくてもよいのではないかと考えました。今回Gemini Notebookを見て感じたのは、その続きです。

AIが大量の資料を読める。Webを調べられる。社内に残した記録が増えていく。分析し、成果物へつなげる機能も広がる。その中で大事なのは、どの情報を根拠として持ち、更新し、使い直すかということだと思います。

特に、外から集めた最新の情報と、内側に残した過去の経験は、同じ重さでは扱えません。技術基準は原典と適用時点を確認する。社内の事例は当時の条件を確認する。AIの回答がどちらを参照したかをたどる。できることが増えるほど、この確認はむしろ必要になります。

Notebookは、仕事の途中をつなぐ場所へ

出発点は、iPhoneのGeminiアプリにNotebookという入口が現れたことでした。入口が一つ増えただけだと思っていましたが、最近の発表を追ううちに、資料を探す前段と、分析や成果物へつなぐ後段が広がっていると感じました。

当社の側でも、日々の指導から記録が生まれ、Notebookへ追加されています。外から新しい情報を探す機能と、内側で増える経験が、ちょうど重なり始めたところです。

今のところ、これらを一つの完成した業務フローとして運用できているわけではありません。まずは、Notebookを単なる「資料を読む場所」ではなく、調べたことと会社の経験を行き来し、次の作業へ渡す場所として捉えてみます。AIの変化は速いので、半年後にはまた違って見えるかもしれません。2026年9月にはこう見えていた、という記録を残しておきます。


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