AI・生成AI

AIとの壁打ちで生まれたアイデアを「未来の自分」に返してもらう

現場写真の位置推定という思いつきが、ChatGPTとの壁打ちで具体化した。しかし今は試せない。未完成のアイデアをリマインドで未来の自分へ再浮上させる使い方に気づいた体験です。

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AIのリマインダーや定期実行の機能自体は知っていました。Geminiにも「毎朝6時にAIニュースをまとめて通知して」と設定しています。

ところが先日、ChatGPTといつものように壁打ちをしていて、別の使い方に今さら気づきました。

リマインダーは予定を忘れないためだけではありません。壁打ちで偶然生まれ、話しているうちに形になってきたアイデアを、未来の自分にもう一度返してもらうためにも使えます。

きっかけは現場写真の話だった

そのときChatGPTとしていたのは、現場写真についての話でした。

私は河川や道路などの土木設計をしており、現地調査では数百枚の写真を撮ることがあります。現場を歩いた本人なら、写真を見れば「これはあの辺だな」とだいたい分かります。

しかし後から大量の写真を整理し、平面図上に撮影位置や方向を落とす作業には手間がかかります。撮影順を思い出し、図面と見比べながら写真番号と矢印を置いていくからです。

そこで、ほんの軽い思いつきとして、ChatGPTに話してみました。

「AIで写真の撮影位置を推定できないだろうか」

最初は、写真をAIに見せて、写っている橋や道路などから場所を当ててもらう程度のイメージでした。ところが壁打ちを続けるうちに、話は少しずつ違う方向へ進みました。

1枚の写真ではなく、連続した現場データとして考える

考えてみれば、現場写真は1枚ずつ独立していません。同じ人が現場を歩きながら順番に撮り、撮影時刻も残しています。

それなら、数百枚を撮影順のある連続データとして扱った方がよいのではないか。デジタルカメラの撮影時刻と、iPhoneなどで記録したGNSSの軌跡を照合すれば、おおよその撮影地点を絞れるのではないか。そんな話になりました。

撮影地点と、写真に写る主な対象物の位置も同じとは限りません。足元の護岸だけでなく、数十m先の橋や対岸を撮ることもあります。どこから、どちらを向いて、何を撮ったのかを分けて考える必要があります。

河川や道路は線状に続くため、撮影者が一定方向へ移動することも手掛かりになります。GNSSに多少の誤差があっても、平面図、撮影順、前後写真との連続性から候補位置を補正できるかもしれません。

橋、道路、電柱、マンホール、護岸形状など、図面と写真の両方で確認できる特徴を位置推定のアンカーとして使う案も出ました。

壁打ちを始めたときは「AIに写真を見せれば場所が分かるかもしれない」という程度でした。それが会話を続けるうちに、次のような処理の流れへ変わっていきました。

  1. 撮影時刻とGNSS軌跡から、撮影地点の候補を絞る
  2. 撮影順と移動方向から、前後の位置関係を確認する
  3. 平面図と写真に共通する特徴から候補を補正する
  4. 撮影地点と主な撮影対象を分け、撮影方向を推定する
  5. 平面図上へ写真番号と矢印を仮配置する

無理にすべてを確定する必要もありません。「この区間の可能性が高い」「確信度が低い」「判定不能」という結果を許容し、最後は人が確認する形でも、整理作業の支援にはなるかもしれません。

構想は具体化した。でも今は試せない

この仕組みはまだ実データで検証しておらず、位置や撮影方向をどこまで推定できるかも分かりません。GNSSの記録方法、カメラとの時刻差、平面図や現場の特徴によって結果は変わるはずです。

測量成果や正式な現場記録として、そのまま使えるものでもありません。試すとしても、AIが示した候補を技術者が図面や現地情報と照合することが前提です。

つまり、ChatGPTとの壁打ちで「こんなところまで構想が具体化した」という段階にすぎません。しかも今は、検証へ手を付ける余裕がありません。「時間ができたら試そう」と考え、そのまま忘れてしまうところでした。

アイデア自体を未来へ送る

ところがChatGPTから、余裕ができた頃にこの話をもう一度拾えるよう、リマインドしておくという提案が出てきました。

そこで「1か月後に思い出させて」と頼み、「現場写真AIの検証」というタスクが登録されたことを確認しました。OpenAIもScheduled tasksを、タスクをバックグラウンドで実行・管理する機能として案内しています。

ただ、今回重要だったのは機能そのものではありません。

登録したのは、検証を自動で進めてもらうためのタスクではありません。最初から1か月後に検討すると決めていたわけでもありません。

会話の途中で偶然生まれ、壁打ちによって具体化したものの、今は実行できない。そのアイデアをもう一度考えるきっかけとして、1か月後へ置いたのです。

AIとの壁打ちの出口が、

「思いつく → 話す → 面白かった → 終わる」

から、

「思いつく → 話す → 具体化する → 今はやらない → 未来へ送る」

へ変わったのです。

保存することと、思い出すことは別だった

私は以前から、壁打ちで出たアイデアをKnowledge OSへ「検討中」として保存し、十分に整理・検討されたものをCompany OSへ移す考え方を持っていました。それでも今回、保存することと、思い出すことは別だと気づきました。

  • Knowledge OSは、アイデアを記憶・保存する場所
  • リマインドは、眠っているアイデアを再浮上させるきっかけ
  • Company OSは、検討を経た内容を正式な組織知へ進める場所

どれだけきれいに保存してあっても、自分から見に行かなければ、そのアイデアはずっと「検討中」のまま眠っているかもしれません。一方、リマインドは未来の特定の時点で、そのアイデアをもう一度、自分の目の前へ持ってきてくれます。

「今やらない」と「忘れてしまう」を分ける

壁打ちで思いつきを具体化し、検討中のアイデアとして保存する。今すぐできないものは寝かせ、適切な時期にリマインドで再浮上させる。そんな流れがあってもよさそうです。

そのとき、やはり価値があると思えば実行すればよい。会社として共有すべき段階になったなら、正式な知識へ進めればよい。時間を置いて見たら大したアイデアではなかった、でも構いません。

今回は「現場写真AIの検証」を1か月後の自分に送りました。その通知を見た自分が「そういえば、そんな話をしていたな」となるのか。それとも「よし、実際に試してみよう」となるのか。少し楽しみにしています。

大切なのは、「今やらない」と「忘れてしまう」は同じではない、ということです。


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