DX・経営

AIと、仕事を少しずつ良くする実験室をつくる――Creer AI技術室という構想

新しい技術を見つけても、日々の仕事に追われると試す前に埋もれてしまいます。6人のAI社員に役割を持たせ、小さな業務改善を探し、試し、記録する「Creer AI技術室」の構想と、まだPoC段階にある現在地を残します。

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AIの新しいサービスや機能は、次々と出てきます。ChatGPTだけでなく、Google Workspace、ExcelやVBA、Python、建設・土木分野のDX事例など、少し気にしているだけでも新しい情報が入ってきます。

面白いものは多いのですが、日々の仕事をしながら全部を追い続けるのは難しい。Creerにも、設計や照査、打合せ、資料作成、納品があります。

その中で、

これ、仕事に使えそうだな。

と思っても、その場で少し見て終わる。ChatGPTとの会話に埋もれる。「後で試そう」と思ったままになる。

だったら、こういう仕事の少し外側を、AIに継続的に見てもらえないだろうか。そこから考え始めたのが、Creer AI技術室です。

ニュースを集めるだけでは、仕事は変わらない

最初は「AIが新しい情報を調べてくれたら便利そうだ」くらいの発想でした。でも考えるうちに、単なるニュース収集では少し物足りないと思うようになりました。

新しいサービスを見つけても、「こんなサービスが出ました」だけでは、当社の仕事にはなかなかつながりません。次に考えたいのは、Creerならどこで使えるかです。

本当に使えるのか。元の情報は正しいのか。会社や案件の情報を扱ってよいのか。小さく試せるか。試した結果を、後から探せる形で残せるか。

以前、AIと仕事を設計することを考えた記事では、人とAIの役割を分けて仕事を進められないかと書きました。今回は、その考えを当社の身近な業務改善へ寄せて、具体的な担当を置いてみようとしています。

6人の「AI社員」に、違う役割を持たせる

現在考えているのは、次の6人です。ここでいうAI社員は、実在する社員ではなく、役割を持たせて動かしたいAIエージェントの構想です。

名前 担当してほしいこと
佐伯 ユウ 新しいAIやサービスを追う
三浦 ナオ 建設コンサルタント、土木、BIM/CIM、DXの情報を調べる
小林 ミナ Google Workspace、Excel、VBA、GAS、Pythonから日々の改善を探す
高橋 レン 集めた情報を見て、Creerならどう使えるか考える
森 カナ 出典、安全性、リスクを確認する
藤田 ソウ 使えそうな案を小さく試作する

最初はWebサイトに登場するキャラクターとして考えていました。ただ、途中で整理し直すと、やりたいことは表示だけではありませんでした。

この6人に、それぞれの役割で実際に作業をしてもらいたい。 ただし今は、6人が自動で連携して働いているわけではありません。名前と担当を決め、仕事の流れを考えている段階です。

まずは、地味な改善を一つ見つけるところから

例えば、ミナが「複数のExcelファイルから必要な情報をまとめて取り出す方法」を見つけたとします。

それを紹介して終わるのではなく、レンが「案件ごとに分かれたファイルを整理する場面で使えるか」と考える。カナが「元のファイルを書き換えずに試せるか」と確認する。ソウが読取専用の小さなVBAを作って試す。これは、これから実現したい流れの例です。

最初から大きなAIシステムを作りたいわけではありません。Excelの繰り返し作業、ファイル名の整理、PDF処理、GoogleフォームとGASの組み合わせ、簡単なVBA。そうした身近なものから始めたいと思っています。

5分、10分の作業が減るだけでも十分です。ただ、作ったものを実務に使う前には、元データへの影響や権限、結果を人が確認します。

いきなり6人を動かすのではなく、まずは業務改善担当のミナに「Creerでちょっと使えそうなものを一つ探してくる」という仕事をさせてみたい。そこが本当に動いたら、レン、カナ、ソウへ少しずつ渡していきます。

AI同士の相談も、必要なときだけにする

もう一つ試したいのが、AI社員同士の短い相談です。ずっと雑談させるのではなく、面白い情報が見つかったときや判断に迷ったときだけ、必要な担当を呼ぶ形を考えています。

例えば、ミナがGoogleフォームとGASを使った受付の方法を見つけたら、レンが当社で使える場面を考え、カナが個人情報や共有範囲を確認し、ソウがテスト用の案を作る。こうした会話も、実現できたら検討の記録として残したいと思っています。

ただ、AI同士が相談するほど良い結果になるとは、まだ確認できていません。担当を分ける手間の方が大きければ、一つのAIで進める方法へ戻すかもしれません。

うまくいかなかった理由も残す

調べたものが全部使えるとは考えていません。試すと便利ではないこともあるでしょう。情報管理上、使えない案もあるかもしれません。今は条件が整わないものもあります。

そこで、結果を「使えそう」「今は保留」「試したが合わなかった」と分け、その理由を残すことを考えています。管理上の名前として、ADOPTED、HOLD、FAILEDのような区分も候補です。まだ運用が定着した分類ではありません。

成功したものだけでなく、「なぜ使わなかったか」が残っている方が、次に同じ案を見たときに役立ちます。

過去のKnowledgeを確かめ、外部情報を調べ、当社で使えるか考え、小さく試して、結果をKnowledgeへ戻す。根拠と実際の試行がそろい、公開してよい内容になったら、技術ノートとして書くこともできそうです。

以前、AI社員には会社の記憶が必要だと考えた記事を書きました。今回は、その記憶を参照するだけでなく、調査や試作の結果をまた会社へ残すところまで考えています。

2Dの研究室は、実際の活動を見るための窓にしたい

現在、Web上に置く2Dの研究室も試作しています。6人がそれぞれの席にいて、情報を見つけ、相談し、試作し、ホワイトボードへ結果が出る。そんな様子が見える画面です。

ただし、キャラクターが動くこと自体を完成とは考えていません。目指すのは、AIが実際に作業する、その記録が残る、その結果として研究室の表示が変わるという順番です。Web上の研究室は、裏側の活動を見るための窓にしたいと思っています。

当初は、ある程度完成してから公式サイトへ載せるつもりでした。でも、完成まで時間がかかるなら、途中を「Creer AI技術室 / Preview」として見せる方法もあるかもしれません。公開する場合は、社内情報や確認前の技術情報を外へ出さない仕組みを先に考える必要があります。「AI技術室 Lounge」のように、公開できる範囲の検討記録を少し見せる案も、まだ構想です。

前に見たときはダミーデータだった研究室で、数か月後にはミナが実際に情報を探している。さらに相談や小さな試作まで進んでいる。そんなふうに育っていく様子を見せられたら面白いと思います。

まだPoCの途中。続けるかどうかも、試して決める

今はAI社員の役割と仕事の流れを整理し、2D研究室のPoCを作っている段階です。AI社員による継続的な調査、担当間の相談、VBAやGASの試作、Knowledgeへの記録までを一通り動かせたわけではありません。

まずはミナが一つ見つけてこられるか。それが当社に関係する情報か。人が確認できる根拠があるか。実際に試す手間に見合うか。そこから確かめます。

うまくいけば少しずつ担当を増やします。思ったほど役に立たなければ、役割や作り方を変えるかもしれません。この構想そのものをやめる可能性もあります。

それでも今は、人が日々の仕事をしている間に、AIが少し先を見に行き、使えそうな案を持ち帰る仕組みを試してみたい。派手な成果より、仕事が少し良くなるかを見たいと思っています。

AIと、仕事を少しずつ良くする実験室。Creer AI技術室は、まだその入口にいます。


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