社員指導ナレッジ化の試行錯誤|第2回
前回は、なぜ当社が社員指導を録音するのかを整理しました。
今回は、実際に録音を始めてからNotta Memoへたどり着くまでの話です。
録音すれば社員指導が残ると思っていた
最初は、社用iPhoneのボイスメモで十分だと思っていました。
社員へ技術指導をするときに録音し、その音声をAIへ渡して整理する。あとから社員が読み返せれば、聞き逃しも減り、同じ説明を何度も繰り返さずに済む。
考え方は単純でした。
ところが、実際に始めると録音よりもその後が面倒でした。
ボイスメモから音声を取り出し、AIへアップロードする。整理結果をダウンロードし、社員へ渡す。一回なら大した作業ではありません。しかし、指導のたびに繰り返すと地味に時間を取られます。
そこで、録音用としてiPadを購入しました。
同じことはできました。ただ、アップロードや受け渡しの手間は変わりませんでした。録音する機械を変えても、作業の流れまでは変わらなかったのです。
文字起こしが悪いのは、音のせい?
もう一つ、iPhoneの頃から気になっていたことがありました。
文字起こしが、どうも微妙でした。
当時はプロンプトやAIへの指示が悪いのだと思っていました。しかし、あるときふと思いました。
そもそも、入力する音が悪いのではないか。
そこでHyperX DuoCastを購入しました。
同じような会話を録音してAIに比較させると、音の違いは明らかでした。外付けマイクの方が聞き取りやすく、録音品質も良くなっていました。
これで整理結果も大きく変わる。そう期待しました。
ところが、数回使っても劇的には変わりませんでした。
音は良くなった。けれど、欲しかった社員指導ナレッジは、それほど良くならない。
次に疑ったのは、録音機材ではなく、ボイスメモ側の文字起こしでした。
音声はある。でも文字にした時点で崩れていた
話者識別やタイムスタンプは、当社の用途では必須ではありません。
困ったのは、誤変換や欠落を含んだ文字を、そのまま次のAIへ渡すことでした。
後段のAIが文章を整えても、入口で抜けた情報は正確には戻せません。技術用語が多い会話では、誤変換を前後の文脈だけで直せないこともあります。
そこで、文字起こし済みの文章ではなく、音声生データをAIへ直接渡そうと考えました。
GeminiのGemに専用プロンプトを用意し、音声から文字起こしと整理をさせる方法です。
これで入口から作り直せると思いました。
しかし、長い音声では途中で処理が終わることがありました。発言していない内容が混ざるなど、明確なハルシネーションも出ました。
短い音声なら使えても、社員への技術指導を安定して残す用途には向きませんでした。
生の音声も一緒に入れれば補える?
音声ファイルそのものは残っています。
そこで、NotebookLMへ文字起こしデータと音声生データを一緒に入れれば、誤変換や欠落を補えるのではないかと考えました。
当時は、GPTやClaudeへm4aファイルを渡し、その場で文字起こしを比較することもできませんでした。
NotebookLMへ二つのデータを入れても、生音声がどこまで補完に使われたのかは見えません。回答が良くなったのかも、はっきり確認できませんでした。
音声はある。文字もある。AIも使っている。
それでも、入力から文字起こし、整理、その後の利用まで、すべてが少しずつ中途半端に感じました。
「これで抜け出せる」と思ったNotta
その後、文字起こしツールを探していてNottaを知りました。
長い音声でも途中で終わりにくい。単語登録ができる。話者識別やタイムスタンプも付く。過去に保存していた音声生データも取り込める。
Geminiで起きていたような、明らかな欠落やハルシネーションも見られませんでした。
これで、今までの状況から抜け出せるかもしれない。
当時は、かなりそう感じました。
月額より年間契約の方が安かったため、Businessプランを年間で契約しました。
さらに、会社外の打合せや銀行来社時にも録音できるよう、専用レコーダーを検討しました。そこで初めて、録音デバイスと文字起こしサービスは、実質的にセットで選ぶ必要があることにも気づきました。
すでにNottaを年間契約していたこともあり、Notta Memoを購入しました。
録音後、スマートフォンへBluetooth接続してアップロードすれば、自動で文字起こしが始まります。
ここでようやく、録音から文字起こしまでの入口はかなり楽になりました。
一つ解決すると、次の手間が見えた
ただし、その後にはまだ作業が残っていました。
Nottaから文字起こしをダウンロードする。GPTへアップロードして整理する。整理結果をまたダウンロードする。Google Driveへ保存し、NotebookLMへ登録する。
一つひとつは難しくありません。でも、件数が増えるほど数分の手間が積み上がります。
そしてNotta Memoを使いながら、ふと思いました。
録音だけなら、iPadも外付けマイクもいらないのでは。
もちろん、iPadにもマイクにも別の使い道があります。社員にはAIとの音声対話用としてマイクも配備しています。
ただ、社員指導の録音という目的だけなら、Notta Memoを常用すればよい。問題は機材ではなく、その後の受け渡し作業へ移っていました。
最初から大きなシステムを作ろうとしたわけではありません。
録音したかった。手間を減らしたかった。文字起こしをもう少し信用できるようにしたかった。
一つ直すたびに、次の問題が見えました。
次回は、このダウンロードとアップロードの往復を減らそうとして、自動化へ進んだ話です。
前の記事:なぜ当社は社員指導を録音しているのか
次の記事:自動化したら、手作業より高くて内容も薄くなった