ChatGPTのLocal Workは新しいPCに自動では移らなかった――PC更新で初めて分かった「AIの作業環境」の引っ越し
同じアカウントでログインしても、新しいPCにはLocal Workの会話が出てきませんでした。見えない会話を調べ、PCの中にあるAIの作業環境もバックアップと移行が必要だと気付いた記録です。
ChatGPTはクラウドサービスだから、PCを買い替えても、同じアカウントでログインすれば基本的にはそのまま使える。
私はそう思っていました。
実際、今回新しいPCへ移行したときも、通常のチャットやクラウド側で作ったProjectは見えました。
ところが、古いPCと新しいPCの両方でChatGPTのデスクトップアプリを開き、同じProjectを見比べてみると、明らかに違いがありました。
古いPCにしかない会話が、複数あったのです。
最初は、まだ同期に時間がかかっているだけだと思いました。
でも、待っても出てきません。
そこで初めて、ChatGPTのLocal Workで使っていた会話は、通常のクラウド上のチャットと同じようには新しいPCへ移らないのではないか、と考え始めました。
今回の記事は、2026年9月、Windows 11のPCを入れ替えたときに、私が実際に経験したことの記録です。
「クラウド、ローカル、リモート」の意味がよく分からなかった
少し前から、ChatGPTのデスクトップ版で新しく作業を始めようとすると、「クラウド」「ローカル」「リモート」といった選択肢が表示されるようになりました。
2026年9月時点で、ローカルには「パソコン上のファイルを編集、実行、テストします」という説明が出ています。
今なら、その意味は分かります。
しかし、最初に見たときは、正直よく分かりませんでした。
クラウド? ローカル? リモート? どれを選べばいいんだ?
という感じです。
ChatGPTはもともとクラウドサービスです。通常のチャットは、PCでもスマートフォンでも、同じアカウントで使えます。
そのため私は自然に、同じアカウントなら、どの端末でも同じものが見えるという感覚を持っていました。
OpenAI公式の「Projects and chats」では、ChatGPTのProjectと、PC上のフォルダへ接続するローカルProjectが分けて説明されています。ローカルProjectでは、ChatGPTが接続したフォルダ内のファイルを読み書きできます。
文章で読めば、違いは理解できます。
ただ、「ローカル」という言葉が、本当にそのPC上の作業場所や状態と結び付いていることまでは、PCを替える前の私は実感できていませんでした。
スマートフォンで見えないことには、以前から気付いていた
実は、前兆はありました。
スマートフォンでChatGPTを使ったときに、PCで使っていたLocal Workの会話が見えないことがありました。
そのときも、
ローカルだから、スマートフォンでは見えないのかな。
くらいには思っていました。
ただ、私はスマートフォンでCodexやローカル作業を本格的に行うわけではありません。見えなくても、そのときの仕事には困りませんでした。
そのため、深く考えないまま使い続けていました。
私がLocal Workを使うのは、単に長い文章を書いてもらうためではありません。
- デスクトップ上のファイルを確認する
- ローカルフォルダの中身を調べる
- コードを書く
- 既存ファイルを編集する
- 作業フォルダの中へ成果物を作る
- ローカル環境で処理を実行する
こうした使い方が多いからです。
Web上の調査やクラウドサービスだけで完結する仕事なら、クラウド側で作業する便利さがあります。別の端末から状況を確認したいこともあります。
一方、長い作業を頼むときほど、私は、
このフォルダを見て。
このファイルを直して。
ここに成果物を作って。
という頼み方をします。
私にとっては、自分のPCそのものをAIの作業場にできることが、Local Workを使う大きな理由でした。
新しいPCでは、Local Workの会話だけが出てこなかった
今回の移行は、比較的条件がそろっていました。
- 旧PCも新PCもWindows 11
- Windowsのユーザー名は同じ
- ChatGPTでは同じOpenAIアカウントを使用
新しいPCへChatGPTのデスクトップアプリを入れ、ログインすると、通常のチャットやProjectは見えました。
しかし、Local Workで使っていた過去の会話は、すべてが出てきたわけではありません。
古いPCにはある。
新しいPCにはない。
ここでようやく、
これは、いつものチャットのようには同期されていない。
とはっきり分かりました。
OpenAI公式のデスクトップアプリ案内には、サインインした後に、チャット、Project、フォルダのいずれかを選んで作業を始めるとあります。また、ローカルProjectはPC上のフォルダへ接続するものとして説明されています。
ただ、2026年9月時点で私が公式情報を確認した範囲では、PCを買い替えたときにLocal Workの会話やProjectとの関係をどう移行するかという、具体的な手順は見つけられませんでした。
そこで、旧PCの中を調べることにしました。
PCの中に .codex というフォルダがあった
私のWindows環境では、ユーザーフォルダの中に、次のフォルダがありました。
C:\Users\ユーザー名\.codex
中を確認すると、セッション、添付ファイル、ローカルデータベース、Projectとの関係などを記録しているように見えるデータが多数ありました。
この時点で、Local Workは、クラウド上の会話を画面へ表示しているだけではないことが実感できました。
PC側にも、会話や作業環境に関係する状態を持っているようです。
そこで、移行作業より先に行ったのがバックアップでした。
旧PCの .codex を丸ごとコピーする。さらに、新PC側にすでに作られていた .codex も、変更前の状態でコピーする。
つまり、
- 旧PC側の元データ
- 新PC側の移行前データ
の両方を退避しました。
これは結果的に、とても重要でした。
途中で何か起きても、元へ戻せる状態を先に作れたからです。
なお、.codex の内部構成や保存方法は今後変わる可能性があります。会話や添付ファイルに関係するデータが含まれる可能性もあるため、コピー先や取り扱いにも注意が必要です。
今回行ったのは、OpenAIが公式なPC移行手順として案内している方法ではありません。あくまで、自分の環境を失わないようバックアップを確保したうえで試したことです。
「見えない」と「消えた」は違った
旧PC側のLocal Workに関係しそうなデータを新PCへ移した後、ChatGPTを起動すると、ローカルデータベースを再構築したという英語の表示が出ました。
その後、ログインもやり直しになりました。
ところが、それでも過去のLocal Workは一覧へ出てきません。
この瞬間は、正直、
失敗したかもしれない。
と思いました。
ただ、今回は旧PCと新PCの両方にバックアップがあります。そこで焦って上書きを繰り返さず、一度止まりました。
新PC側の sessions フォルダを確認すると、旧PC側と近い量のデータが残っていました。
会話本体らしきデータは来ている。
でも、ChatGPTデスクトップ版の一覧には出ていない。
そこでCodex CLIから、次のコマンドを実行しました。
codex resume --all
すると、過去のLocal Workのセッションが一覧へ出てきました。
実際に一件開いてみると、過去の会話と作業内容を確認できました。その後、ChatGPTデスクトップ版側でも、その会話を再び開けるようになりました。
今回の私の環境では、データが消えていたのではなく、新しいPC側でローカルの一覧へうまく出ていなかったと考えるのが自然でした。
画面に出てこないことと、データそのものが消えたことは同じではありませんでした。
ただし、同じ操作をすれば、別の環境でも必ず復旧できるとは限りません。機器、アプリのバージョン、保存場所、故障の状態によって結果は変わるはずです。
同じWindowsユーザー名だったことも大きかったと思う
今回、旧PCと新PCでは、Windowsのユーザー名が同じでした。
そのため、
C:\Users\ユーザー名\...
というパスも一致していました。
これは移行しやすかった理由の一つではないかと思います。
Local WorkやCodexは、ローカルの作業フォルダやファイルパスと結び付いて動きます。
もしWindowsのユーザー名が違う、作業フォルダの場所が違う、CドライブからDドライブへ変わる、デスクトップの保存場所が違う、といった差があれば、以前のProjectと作業フォルダの関係が、そのままでは使えない可能性があります。
今回の方法が、すべての環境でそのまま再現できるとは限りません。
だからこそ、最初に旧PCと新PCの両方をバックアップしておくことが大切でした。
また、今回の経験後、Local Workで新しい作業を始めるPCは、基本的に新PCへ寄せることにしました。
旧PCと新PCの両方で並行してLocal Workを続けると、旧PCにしかない会話、新PCにしかない会話、Projectとの紐付け、ローカルデータベース、作業ファイルの差が少しずつ増える可能性があります。
通常のクラウドチャットと同じ感覚で二台を行き来するより、主に使うPCを決めておいた方が、私には管理しやすそうです。
PCを替えることは、AIの作業環境を引っ越すことだった
今回の経験で、Local Workを使うのをやめようとは思いませんでした。
むしろ、自分の使い方にはLocal Workが合っていると、あらためて感じました。
Cloud WorkとLocal Workは、どちらが優れているという話ではありません。
Web上の調査、クラウドサービスの操作、別の端末から確認したい仕事は、クラウド側の作業と相性がよいと思います。
一方、PC上のファイルを直接扱う、ローカルのコードを編集・実行する、デスクトップへ成果物を作る、既存の作業フォルダを使うといった仕事は、私にはLocal Workの方が自然です。
ただし、その便利さと引き換えに、PC側の作業環境を自分で守る必要があることが分かりました。
これまでは、「ChatGPTを使っている」という感覚でした。
これからは、
PCの中に、AIの作業環境を持っている。
と考えた方が近いと思います。
そう考えると、PC故障、SSD交換、PC更新、新PCへの入れ替え、複数PCでの併用まで含めて、Local Workの運用です。
詳しい人には、「Localなのだから当然でしょう」と思われるかもしれません。
しかし私は、通常のChatGPTがあまりにも自然に使えたため、Local Workもその延長にあると思っていました。PCを替えて一度見えなくなったことで、初めて違いが腹に落ちました。
ChatGPTはクラウドサービスです。
でも、AIが自分のPCのファイルを触り、コードを実行し、成果物を作るところまで使い始めると、PCそのものがAIの作業環境になります。
その状態でPCを替えることは、単にChatGPTへログインし直すことではありません。
AIの作業環境を引っ越すことでした。
少なくとも私は、次にPCを更新するときは、Local Workの会話、作業フォルダ、そして .codex も含めて、先にバックアップ対象を確認します。
注意
この記事は、2026年9月時点のWindows 11環境で、筆者自身が行ったPC移行の記録です。本文で紹介した方法は、OpenAIが公式に案内しているLocal Workの移行手順ではなく、同じ操作で会話やProjectを復旧できることを保証するものではありません。
ChatGPTデスクトップ版やCodex、
.codexフォルダの仕様は変更される可能性があります。また、PCの構成、ユーザー名、保存場所、アプリのバージョンなどによって結果が異なる場合があります。同様の操作を試す場合は、旧PCと新PCの両方について、変更前のデータを必ず別の場所へバックアップし、元に戻せる状態を確保してください。本記事を参考にした操作によって生じたデータの消失や環境上の問題について、当社では責任を負いかねます。