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Dynamoを知らずにV-nasClairスクリプトを試していた――AIで変わり始めたCAD自動化の入口

Dynamoをほとんど知らないまま、AIとV-nasClairスクリプトで3次元モデルや2次元の引出線を作っていました。後から共通点に気付き、CADへの指示の変化を考えた記録です。

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最近、同業他社の技術記事を読んでいて、「Dynamo」という言葉が目に留まりました。

3次元で設計を進めると、説明や検討には便利です。しかし最後に2次元成果物を作るところがボトルネックになる。その部分をDynamoやAIでどこまで自動化できるか試している、という内容でした。

この「3次元を作ることより、その後に残る2次元の手数をどうするか」という問題には、かなり共感するところがありました。

一方で、私はAutodeskのCivil 3DやRevitを普段使っていません。

Dynamoについても、名前を聞いたことがある程度で、何をするものなのかほとんど知りませんでした。

そこで少し調べてみたところ、自分がV-nasClairのスクリプトで試していたことと、目的の部分では意外と近いところがあることに気付きました。

そもそもDynamoを知らなかった

Dynamoは、ノードと呼ばれる処理の部品をつなぎ、データの取得、計算、モデル操作などを組み立てる仕組みです。Dynamo Coreに、RevitやCivil 3Dなど各製品向けの機能を組み合わせて使います。

プログラムをすべて文字で書かなくても処理を組み立てられます。Excelのデータを読み込む、モデルの属性を取得する、条件によって処理を変える、必要に応じてPythonを組み合わせる、といった使い方もできます。

細かな機能を比べれば、V-nasClairのスクリプトとはまったく別物です。機能や拡張方法を調べる限り、V-nasClairスクリプトより広い範囲を扱える仕組みだと理解しました。

ただ、私が引っ掛かったのは製品としての比較ではありません。

人がCADを一つずつ操作するのではなく、データとルールを使って処理させる。

その考え方でした。

それなら、私がやろうとしていたことにも少し似ています。

私が試していたのはV-nasClairのスクリプト

これまでV-nasClairでは、まず3次元モデルの自動生成を試してきました。

寸法や条件をAIへ説明し、AIに作らせたPythonで座標などを計算する。V-nasClairで実行するスクリプトを生成し、3次元モデルを作る。

ここまでは過去の記事にも書いてきました。

最近は、同じスクリプトという入口を2次元にも使えないか試しています。

その一つが、図面上の引出線です。

例えばExcelに、次のような情報が入っているとします。

  • 測点
  • 施設名称
  • 規格

そのExcelをAIに読ませ、測点から図面上の配置位置を計算し、指定した文字を持つ引出線を作図するV-nasClairスクリプトを生成させました。

実際に試したところ、指定した測点位置に引出線を配置できました。

画像として貼り付けたのではありません。V-nasClair上で編集できる引出線要素として作図しています。

今回試した2次元作図の流れ
  1. Excelから条件を受け取る測点、施設名称、規格などを読み取る
  2. AIで表の意味と作図条件を整理するどの情報を、どのような引出線にするかを確認する
  3. 測点から配置座標を計算する図面上で引出線を置く位置を求める
  4. スクリプトを生成するV-nasClairが実行できる命令へ変換する
  5. CAD上で作図・確認する引出線要素として配置し、人が位置と内容を確認する

これを試したとき、樋門の3次元モデルとは少し違う可能性を感じました。

何でも大きなテンプレートにする必要はない

樋門のような3次元構造物を自動生成する場合には、ある程度のテンプレートや設計ルールが必要になります。

どのような部材で構成されるのか。寸法が変われば、ほかの部材がどう変わるのか。勾配や開口をどう扱うのか。

そこには構造物としての知識が必要です。一つの形ができただけでは、別の条件でも使える仕組みになったとは言えません。

一方で、

この測点に、この文字で引出線を書いてほしい。

という作業なら、そこまで大きなテンプレートは必要ありません。

必要なのは、主に次の三つです。

  • どこへ描くか
  • 何を描くか
  • どのような形で描くか

同じことは、文字、寸法、表、繰り返し図形などにも言えるかもしれません。

そう考えると、V-nasClairのスクリプトは、構造物を自動生成するためだけのものではありません。

普段のCAD作業で発生する、細かな手数を減らす道具としても使える可能性があります。

3次元モデルの自動生成は魅力があります。しかし、毎日の実務で何度も繰り返している小さな作図を一つ減らせるなら、そちらの方が先に効果を感じられる場合もあると思います。

今もPythonもスクリプトも書けない

ここは少し変な話かもしれません。

私は現在も、Pythonのコードを自分では書けません。

V-nasClairのスクリプトも書けません。コードを読んで部分的に直す、ということもほとんどできません。

PythonやV-nasClairスクリプトを覚えてから、この検証を始めたわけではありません。

今も自分で書けるようになったわけではありません。

やっているのは、作りたいものや条件をAIへ説明し、生成されたものをV-nasClairで動かしてみることです。

エラーが出れば、その画面や内容をAIへ返す。形がおかしければ、何がおかしいのかを説明する。そして、修正されたものをもう一度試す。

その繰り返しです。

もちろん、コードを書けなくても何でも自動化できる、という意味ではありません。

むしろ、自分がコードを書けないからこそ、何をしたいのかを、どこまで正確に説明できるかの方が重要になります。

土木の形状や図面の意味を説明できなければ、AIも正しい処理にはできません。AIが生成したスクリプトで形が描けても、測点、文字、位置、縮尺、元データとの関係が正しいかは、人が確認する必要があります。

それでも、以前なら「プログラムを書けない」というところで止まっていた私に、生成AIが別の入口を作ったことは確かだと感じています。

そんなとき、DynamoにもAIが入った

Dynamoについて調べていたところ、ちょうど興味深い発表がありました。

2026年8月26日に公開されたDynamo Core 4.2の公式発表によると、現在試せるSandbox版では、Autodesk AssistantがDynamoに組み込まれています。さらにDynamoMCPによって、Assistantが開いているワークスペースを確認し、ノードを追加・接続し、入力値を設定し、処理を実行し、返ってきた警告を読むところまで行えると説明されています。

公式発表では、例えば次のような処理が例として挙げられています。

  • 点のグリッドを作る
  • 数値の平均、最小値、最大値を求める
  • 条件に合う数値だけを抽出する
  • モデルのパラメータを変更する処理を組む
  • Pythonノードを使った処理を作る
  • 複数の形状からソリッドを作る

さらに興味深かったのは、AIへの指示について、単に操作手順を伝えるだけではなく、「何を達成したいのか」を伝えることが勧められていた点です。

一方、現時点の範囲には注意が必要です。

Dynamo Core 4.2は、まずSandbox版で試せる段階で、RevitやCivil 3Dなど各ホスト製品への統合は今後とされています。また、Dynamo内のAutodesk AssistantがRevitのモデルを直接変更する仕組みではなく、ホスト側との役割も分かれています。

したがって、現在すべてのRevitやCivil 3Dで同じことができる、という話ではありません。

それでも、この方向はかなり気になりました。

プログラムを書くことから、「何をさせたいか」を伝えることへ

私はDynamoを知って、それをV-nasClairで真似しようとしたわけではありません。

V-nasClairにスクリプトという機能がある。AIならコードを書ける。だったら、

この3次元モデルを作ってほしい。

このExcelを使い、指定した測点に引出線を書いてほしい。

と伝えれば、CAD操作を減らせないか。

単純に、そこから始めました。

後からDynamoを知ると、機能や仕組みは違っていても、CAD自動化として考えている方向には重なるところがありました。

そして、そのDynamo自身にもAIが入りました。

これまでは、人がノードやコードを使って処理を組む必要がありました。Dynamo Core 4.2のSandbox版では、そこへ、人が目的を伝え、AIが処理を組み、Dynamoが実行するという経路が加わり始めています。

もちろん、人が何も分からなくても正しい処理が完成するわけではありません。入力と出力の条件を決め、結果を確認し、必要なら修正する仕事は残ります。

それでも、「自動化したければ、まずプログラムやノードの組み方を覚える」という順番は変わるかもしれません。

これを知って、私は、自分がこれまで何を試していたのかを少し違う角度から見るようになりました。

V-nasClairで私が試しているのは、作りたいもの、条件、元データをAIへ伝え、Pythonやスクリプトへ変換し、CADで実行する流れです。Dynamoでは別の仕組みを使い、AIが人とCAD・BIMの間に入り始めています。

どちらが優れているか、という話ではありません。普段V-nasClairを使っている会社にとって、新しい専用システムを導入しなくても、今使っているCADにあるスクリプトという入口を、AIによって以前とは違う形で活用できるのではないか。

そこには、まだ試す余地がありそうです。

3次元モデルを自動で作れるか、というところから始めた検証でした。

今は、2次元も3次元も含め、人がCADで繰り返している操作のどこまでを「指示」に置き換えられるのかの方が気になっています。

私は相変わらずPythonもV-nasClairスクリプトも書けません。

それでも、以前なら入口にも立てなかったCAD自動化を試せています。

DynamoにもAIが入り始めた今、この入口の変化は、V-nasClairに限った話ではないのかもしれません。

もう少し試してみたいと思います。